落ち穂ひろいmini★ comerse los kilómetros
風を切って走る、快走する、疾駆する
今回も英語の直訳的表現です。このハーレクイン小説原文が英語であることからスペイン語としてはこなれていない訳語になるのは翻訳者の技量や好みの問題だと思います。可能な限り原文のニュアンスを読者に伝えたいという意味ではこの訳語もありかなと思っています。
私のようなスペイン語の好事家としては、原文はどうなっているのか確認したいところですが、ないものねだりをしても無益ですね。この comerse los kilómetros は英語の eat up を西訳読者にわかりやすいように訳出したのではないかと想像していますし、引用箇所の場面もイメージしやすいですね。
英語 eat up の語義のひとつに「(道路・距離を)一気に進む」(『研究社 リーダーズ英和辞典』)があることからも推理できますが、もしこの小説の原作者が米国人であれば eat up the miles と書かれているはず。スペインも日本同様にメートル法を採用しているのですから度量衡システムの変換も必要となりますよね。
蛇足になりますが、この訳書はアルゼンチン向けにスペインで印刷されたことが奥付でわかります。ヤード・ポンド法の米国外の読者を想定した訳書であることから、その配慮が窺えます。この意味でも私たち通訳ガイドもインバウンド旅行者に対する説明にはゲストにより理解していただくための工夫が不可欠ということを学ぶことができます。ちょっと大袈裟かな。
Mientras el coche deportivo de Declan se comía los kilómetros en dirección a casa de Gwen, ella reflexionó sobre el súbito giro que había su vida.
-Yvonne Lindsay “Tentar al destino” (HARLEQUIN 671) p.35
Como el tobillo de Sabrina parecía casi curado, Marco devolvió el Rolls de su madre y volvió a conducir su Ferrari. El poderoso deportivo se comió los kilómetros entre Nápoles y Positano en menos de una hora.
-Merline Lovelace “La promesa del duque” (HARLEQUIN 673) p.93
Había pasado cinco días desde el funeral y ya no aguantaba más. Sentía una necesidad instintiva y primaria de ver a Dylan y de asegurarse que estaba bien.
Pero a medida que su Maserati devoraba los kilómetros tuvo que admitir que, además de a Dylan, y aunque no se lo explicaba, había echado de menos a Victoria.
-Tessa Radley “Una negociación millonaria” (HARLEQUIN 683) p.71
* Maserati マセラティ:高級スポーツカー・ブランド