落ち穂ひろいmini 蒟蒻

devil’s tongue

 突然ですが、今日のテーマはコンニャクです。コンニャクと言えばドラえもんの「ほんやくコンニャク」を思い浮かべてしまいます。そんな便利なツールがあったら、私たち通訳ガイドは不要でしょうが。また、5月29日はコンニャクの日だそうです。5月に種芋を植えることから関連団体が語呂合わせで、この日を記念日に選んだそうです。
 ということで、季節外れのテーマになってしまうのですが、昨日、読み終えた『街道をゆく 二十 - 中国・蜀と雲南のみち』(朝日新聞社)に触発されて備忘録のようなつもりで取り上げることにしました(私にとって司馬遼太郎さんは 『街道をゆく』 なのです。学生の頃には小説の方も読んでいましたが、現在はこのシリーズが必携書です)。


 さて、ツアー中に「コンニャク」に出会うことは多いと思います。勿論、食材としてです。白状してしまうと、昨年暮れにあるエージェント様主催の添乗員研修(添乗員資格の更新が迫っていたことと、Go to トラベル 期間中で実際の運用を経験するために参加しました)で訪れた群馬の道の駅で球根と言うのか球茎と言った方がいいのか、それを見るまで実物を見たことも手にしたこともありませんでした。
 それでも、食事の説明の際に触れることの多い食材ですよね。英語なら devil’s tongue ですが、スペイン語では『クラウン和西辞典』(三省堂)に倣って “konnyaku”, gelatina dura hecha de la fécula de una hierba で済ませています。
 事典的な説明であれば、『カラーペディア 英文日本大事典』(講談社)という少し古くなってしまいましたが、良書を利用します。今ならウィキペディアを利用することが多いのですが、昔はこのような百科事典にお世話になることが多かったです。敬意を込めて(回顧的ですが)蒟蒻の説明部分を引用させていただきます。

Bulbous perennial herb that has been cultivated in Japan from ancient times; also a jellylike noncaloric food derived from the plant’s bulb. To make the latter, the bulb is sliced, dried, and then boiled; a coagulant is added and the material is molded into blocks. It is also formed into thick noodles (ito konnyaku) or fine ones (shirataki). Slices of konnyaku are an ingredient in simmered dishes (nimono) such as oden. Shirataki is used in sukiyaki and other nabemono (vegetable and fish or meat dishes prepared in a pot).

『カラーペディア 英文日本大事典』(講談社:1994年1月6日 第4刷発行)

 説明冒頭の学名(ラテン語)は省いてしまいましたが、ざっとこんな感じの説明になっています。この説明文中には補足説明をすべき点がいくつも含まれていますが、本事典の見出し語になっている事項はイタリック体になっていますので、クロスリファレンスも可能です(イタリックの部分もそのまま転記すべきなのでしょうが、私の能力では気に入ったフォントでホームページ上に表示できないための措置です、お許しください)。
 日本食ブームのおかげで、蒟蒻の知名度も上がり、ゲストの中にはご存知の方も少なくありません。初めて日本食に出会う方には不思議な食材らしいですし、その舌触りに違和感を感じるゲストもいらっしゃいます(大概が「食わず嫌い」な方が多いのも事実ですが)。

 話がどんどん外れてしまいますね。『街道をゆく』に戻ります。同書目次に「コンニャク問答」がありますし、「鬼の肉」というタイトルも出てきます。本当は、全てを引用したいくらいですが、devil’s tongue を連想させられた箇所にとどめますので、機会があれば図書館等でお手に取ってみて下さい。

「灌県の農民はよろこんでたべていますよ」
 と、土地のひとがいった。
 食べ方は、ふつう鶏肉や豚肉と一緒に煮つけるというもので、ほかに、センギリのようにコンニャクを細く切って漬物と一緒に油いためするという家庭料理もあるらしい。また保存法として、高野豆腐のようにもする。寒中に戸外へほうりだしておいて凍らせ、スポンジ状になったものを乾燥させて保存するのである。
「灌県の農民のことばとして、コンニャクのことを黒豆腐というんです。作り方が豆腐に似ていますから」
 ともいい、またべつに、
「鬼肉(クイロウ)」
 ということばもあるという。鬼(日本でいうオニでなく、バケモノの意)の肉など、コンニャクの異名としては、ふるっているほうかもしれない。

『街道をゆく 二十 - 中国・蜀と雲南のみち』(朝日新聞社;昭和58年1月20日発行、364頁)

 本書に登場する食材は、蒟蒻だけではありません。とても有益な情報満載ですし、ガイド資料としても一読をお薦めします!


ランチ定食 (2022.04.07 ~結ぶ食房~しまゆし)
*メイン*
豚ヒレ肉のチャーシュー
*お惣菜*
邑南町産「のどぐろおかず味噌」雷こんにゃく
鶏つくねとうずら卵のおでん風

英 語

前の記事

落ち穂ひろいmini dyspnea