百科事典の効用

 “Cuéntame cómo pasó”のTemporada 5 を視聴中です。実は9月中に全13話を視てしまおうと思っていたのですが、先月から今月にかけてゲストがスペイン語圏の方ではなく英語でのアサインだったことから、同ドラマの視聴を怠ってしまったのです。
 外国語学習は耳からが重要なポイント、聞き取れないことには会話が成立しませんからね。ですから、ゲストの使用言語に合わせるかのように私が視聴するドラマもしばしば変わるのです。

 それと百科事典と、どんな関係?と思われますね。このように回りくどい言い回しがゲストには何を言っているかわからないという反応になってしまうのかな、と反省しつつ駄文を続けさせていただきます。
 前回、小欄で平凡社の世界大百科事典から引用させていただいたばかりです。別室にある百科事典を取りに行くのも億劫になるほどものぐさになってしまったからでしょうか、最近はネット検索で済ませる頻度が高かったことから、久しぶりに同百科のページをめくったのでした。

 今日も “Cuéntame cómo pasó” で気になった事項が出てきたものですから、先日のように世界大百科を利用してみようと検索したのです。最初にきっかけになった場面です。

-Tú me has cuidado un mes. Ya estoy sana y puedo trabajar. Y voy a dejar la dieta. Estoy harta.
-No comas morcilla.
-Sí, son de aquí.
-Desde luego…
-Tú tienes que comer un poquito. Esto tiene más hierro que la espada de Viriato.
-Vale, pero no quiero engordar.
-La morcilla no tiene que ver con el embarazo.
-¡Qué rica! ¿Se me nota?
-Alguien que no te conociera creería que has comido un buen gazpacho manchego.
-¿Por qué lo escondes?
-No quiero decírselo aún a Antonio.
-Pero ¿por qué no?
-No, estamos todo el día discutiendo. Hasta que no nos arreglemos no se lo digo.
-Habéis pasado muchos líos todos estos años.
-Ahora será una carga para él. Está todo el día como ido. Con esa amargura que lleva dentro. No sé por qué.
-No puedes ocultarlo mucho tiempo.
-Pues eso. Hasta que nos arreglemos no se lo digo.
-Haz lo que quieras.

– Capítulo 84 (T5-E10) “La habitación de arriba” (01 jul 2004 )

 HerminiaとMercedes 母娘の会話ですが、morcilla は鉄分を多く含んでいるという箇所に espada de Viriato が出てきたものですから、この人物が何者かを調べるために百科事典に助けを求めました。
 その前に morcilla が何かわからないと話が進みませんね。『クラウン西和辞典』(三省堂)には「⦅料理⦆モルシーリャ、豚の血で作ったソーセージ(タマネギ、米、松の実、香辛料などとともに詰める)」と説明のあるとおりです。豚の血でつくるのですから鉄分たっぷりは理解ができますね。
 これを espada de Viriato と対比させているのは何故?という疑問が出てきます。このドラマにはスペイン史を象徴する事項が頻繁に出てくることから、きっと歴史上の地名か人名だろうなと想像しながら調べてみることにしました。

 同時に、今日は私にとって区切りの良い誕生日でもあることから、インターネットなど存在しなかった若い頃を懐かしむかのように紙媒体に手を伸ばしたということも付け加えさせていただきますね。
 さてさて、あまり脱線しないうちに、同百科の説明です。

ビリアト Viriato ?‐前139

ローマ人のイベリア半島進出に抵抗したルシタニアの首長.エストレラ山脈の羊飼いとして生まれたが,前154年からルシタニアに侵入してきたローマ軍に対してゲリラ戦を指揮し,ローマの歴史家たちからその勇気,公平無私な人柄を賞賛されていた.8年間の抵抗ののち,和平条約にこぎつけたが,前139年ローマ人に買収された部下の裏切りにあって殺害され,まもなくルシタニアはローマの支配下に入った.

『平凡社 世界大百科事典』(1988年4月28日 初版発行 1993年印刷)第24巻 176頁

 スペインの田舎出身の老婆 Herminia が日常の会話で比喩として口にするくらいの人物の剣ですから、当時のスペイン(ドラマの舞台は1971年夏の Sagrilla:架空の農村) では一般常識的な存在だったと思われますね。
 この剣がどれほどのものなのか、さらに調べるべきなのですが、明日から鈴鹿に出かける予定があることから、今後の課題とさせていただきます。
 繰り返しになりますが、本日は私にとって特別な日でもあるので、若い頃に無理をして購入した百科事典を繙きながら、若い日々を懐かしむ刹那にしたかったという気持ちもあったのだと思います。

 蛇足ですが、私が幼い頃に買い集めた図鑑のように長女の誕生日(彼女は4日後に二十歳)プレゼントとして恩師からいただいた学研の図鑑6冊セットを皮切りに各巻を少しずつ買い足して与えてみましたが、その末路も危うくなっています。限られた空間でスペースを確保しようとすると最初に血祭にあがるのが本、それも場所をとる事典類のようです。私もあと何年生きることができるか神のみぞ知るですが、百科事典を含めた本の効用を少しでも喧伝しておかないと、悲しい結末は避けられないという危惧もあります。
 本を見捨てるような人間にはなってほしくはない!と彼らには繰り返し態度で示しておきたいということで、この雑文を書き始めることにしました。

 さらに蛇足の蛇足です。morcilla には「(演劇などで)アドリブ、即興的なせりふ」という意味もあります。

-(Borracho): Cuando uno piensa que la ha “palmao”.
-No, no. No digas la ha “palmao”. Di se ha muerto.
-¿Por qué?
-Porque el autor lo ha escrito así. No metas morcillas.
-Ahora que hemos parado. ¿Yo por qué tengo tan poco papel?
-No empecemos, Gonzalo, que es tardísimo.
-Yo tendría que hablar más. ¡Yo soy el padre de Sheila! El cabeza de familia.
-¿Y yo? Digo poco y no puedo meter nada de mi cosecha. ¿Y por qué tengo que decir se ha muerto?, si todos dicen ha “palmado”.
-¡Yo también quiero que decir algo! ¿Por qué tengo que ser la apuntadora? ¿Por qué no hago el papel de Nieves?
-¿Y por qué va a hacer mi papel?
-¿Y por qué no? Yo hice el Tenorio en el colegio.
-Sería el siglo pasado.
-¡Eso no lo aguanto!

– Capítulo 39 (T2-E6) “Los caudillos también se rascan” (31 oct 2002)


 そしてmorcilla と言えば matanza.スペインの風物詩ですね。関連記事のリンクを挙げておきますので、よかったらご覧ください。


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