金子みすゞとの出会い

 昨日、巌流島散策の記事を再掲したばかりですが、同じ家族通信(「竹の子」 第56号 2008年9月25日発行)に金子みすゞについて記した記事も掲載されていましたので、この機会に転載させていただきます。

※下記の記述内容(データや感想など)は執筆当時のものですので、予めご了承ください。

 仙崎の記念館を訪れたのが昨年(2007年)9月23日のことですからちょうど一年前のことになります。子供たちにとっては退屈な場所に違いないのですが、ここもいつか行きたいと思っていた地でした。
 ところで、下関もみすゞとの所縁ある土地です。8月22日にLaLaTVで映画「みすゞ」を観たばかりでしたが、その翌日に巌流島を訪れ、ついでに唐戸を散策しようということになったのも不思議な因縁と思い、「詩の小径」を辿ろうとしたのです。
 下記の散策マップがあれば難なく踏破できたのでしょうが、行き当たりばったりの散歩程度としか考えずに歩き出した私たちは道に迷ってしまい、丸山町を抜け、林芙美子が通ったという小学校に行き着いたところで、雨に阻まれて40分にも満たないはずの行程をクリアできなかったのです。次回のリベンジのために散策マップを転載しておくことにしました。


 さて、映画「みすゞ」(五十嵐匠監督、田中美里主演)は、何年か前にみた松たか子主演の「明るいほうへ 明るいほうへ ~童謡詩人 金子みすゞ~」とは違った雰囲気があって良かったと思います。田中美里と言えば、私には「冬のソナタ」のユジンの声というイメージが強いのですが、淡々と生きたみすゞの姿が目に浮かんできそうで思わず涙が出てしまう作品でした。この映画の解説は紀伊國屋書店のHPからです。


 ‘若き詩人中の巨星’ と西條八十に絶賛を受けながらも26歳で夭折した童謡詩人金子みすゞ 。没後その作品は散逸し、幻の天才作家として語り継がれていた。しかし、死後半世紀を経て遺稿集が発掘され、全集や選集が次々と出版される。関連書籍を含めた発行部数は百七十万部を突破。また、詩作の広がりと共にその人物にも注目が集まるようになる。優れた作品を残しながらも若くして自ら死を選んだ理由は…温かく優しい詩作の裏に秘められた真実とは…。

 死後七十余年を経た今年、その生涯が舞台、TVドラマ、そして本作『みすゞ』として映画化されることとなった。まさに熱い ‘みすゞ’ ブームの中、メガホンをとったのは『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐 匠監督。その生涯を端麗な映像美でフィルムに焼き付けた。撮影は全編山口県でのオールロケ。丹念なロケハンによって見つけられた路地や古い建物の佇まいはみすゞが生きた時代の空気を見事なまでに甦らせている。

 ヒロインみすゞにはNHK連続テレビ小説『あぐり』、『一絃の琴』の田中美里。その夫役に寺島進。さらに永島暎子、中村嘉葎雄と実力派に加え若手注目株の加瀬亮、また西條八十役にイッセー尾形と豪華なキャストが結集。

 また天才写真家アラーキーこと荒木経惟がみすゞの詩に魅せられスチールを担当したことも話題を呼んでいる。          

http://www.kinokuniya.co.jp/01f/misuzu/INTRO/INTRO.html


 金子みすゞ(1903-1930)を知らない方は少ないとは思うのですが、金子みすゞ記念館に彼女を紹介してもらいましょう。

 『赤い鳥』、『金の船』、『童話』などの童話童謡雑誌が次々と創刊され、隆盛を極めていた大正時代末期。そのなかで彗星のごとく現れ、ひときわ光を放っていたのが童謡詩人・金子みすゞです。
 金子みすゞ(本名テル)は、明治36年大津郡仙崎村(現在の長門市仙崎)に生まれました。成績は優秀、おとなしく、読書が好きでだれにでも優しい人であったといいます。
 そんな彼女が童謡を書き始めたのは、20歳の頃からでした。4つの雑誌に投稿した作品が、そのすべてに掲載されるという鮮烈なデビューを飾ったみすゞは、『童話』の選者であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されるなど、めざましい活躍をみせていきました。
 ところが、その生涯は決して明るいものではありませんでした。23歳で結婚したものの、文学に理解のない夫から詩作を禁じられてしまい、さらには病気、離婚と苦しみが続きました。ついには、前夫から最愛の娘を奪われないために自死の道を選び、26歳という若さでこの世を去ってしまいます。こうして彼女の残した作品は散逸し、いつしか幻の童謡詩人と語り継がれるばかりとなってしまうのです。
 それから50余年。長い年月埋もれていたみすゞの作品は、児童文学者の矢崎節夫氏(現金子みすゞ記念館館長)の執念ともいえる熱意により再び世に送り出され、今では小学校「国語」全社の教科書に掲載されるようになりました。

 天才童謡詩人、金子みすゞ。自然の風景をやさしく見つめ、優しさにつらぬかれた彼女の作品の数々は、21世紀を生きる私たちに大切なメッセージを伝え続けています。

http://www.city.nagato.yamaguchi.jp/misuzu/misuzu.html

 近いうちに件の小径は勿論のこと、記念館を再訪したいと思っています。

家族通信「竹の子」 第56号 2008年9月25日発行

2008年8月23日 金子みすゞ 詩の小径(下関市)
2007年9月23日 金子みすゞ記念館(長門市仙崎)

 9月23日は私たち夫婦の結婚記念日(挙式日)。萩の松下村塾に行く途中に長門のみすゞ記念館に立ち寄りました。この日の記録が見つかりませんので、当日、妻が撮ったスナップ写真の一部を掲載させていただきます。

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