Es jefe quien puede no quien quiere.

 突然ですが、今回は “Cuéntame cómo pasó” 第13シーズン 第218章からです。舞台設定は1979年9月中旬のマドリードです。フランコ体制終焉後の不安定な国内情勢に追い打ちをかけるように第2次オイルショックのあおりを受けて経済も破綻状態という時期と重なります。
 今回のテーマを Es jefe quien puede no quien quiere. としましたが、失業中の主人公一家の家長 Antonio の再就職活動の様子も描かれており、その中の次の紋切り型の不採用通知の文言が気になったものですから、そちらを先に引用させていただきます。Antonio と妻Mercedez との会話シーンです。

-Y la entrevista, ¿qué?
-Bien.
-¿Bien?
-Un poco corta, Merche.
-“Lo sentimos, pero no encaja usted en el perfil que buscamos. No sabe inglés, no tiene dos carreras y sobre todo, no tiene veintidós años”.
-Bueno, habrá otras oportunidades. No te preocupes.
-Sí. Hoy, mañana, pasado, el año que viene. El año que viene.
-Claro que sí.

“Cuéntame cómo pasó”  Capítulo 218 “Hoy empieza todo” (29 sep 2011)

 不採用の「残念ながら云々」の紋切り型の通知文ですね。私自身も何度も受け取った経験がありますので、スペイン語ではこう言うのかと妙に納得したものです。
 スペインドラマ “Cuéntame cómo pasó” は私にとってはスペイン語学習の指針になっているのですが、第22シーズンの放送を今か今かと待っているところです。このドラマの舞台はフランコ体制末期に始まり、すでにバルセロナオリンピックが終了した第21シーズンが今年1月から5月に放映されました。コロナ禍下ということもあり、時代設定が1992年と現在(2020年)とを行き来したことにより家長Antonio の死も先取りされています。
 このAntonio を一言で示しているのが、次の Pepe と Antonio 自身の会話中のPepe の言葉かなと思ったものですから、同章に登場する「残念ながら」と並置するのは、おかしな気もしないでもないと感じつつも備忘録とさせていただきます。

-Espere, espere, don Antonio.
-Pepe. ¿Cuántas veces tengo que decirte que no hace falta que me abras la puerta? Ni que vengas, que me haces un favor, ya no trabajas para mí.
-De eso nada, don Antonio. Es jefe quien puede no quien quiere. Y usted puede más que muchos, lo sabré yo.
-Bueno, pues, nada. Vamos.
-Pues, usted dirá.
-A la carretera de La Coruña. A Marshall Ibérica.
-Lo que usted mande, don Antonio.

“Cuéntame cómo pasó”  Capítulo 218 “Hoy empieza todo” (29 sep 2011)

 このスペインを象徴するドラマをご覧になったことのない方にはつまらない話でしょうが、新年に向けて気持ちを新たにするための一言として敢えて取り上げました。Es jefe quien puede no quien quiere. 中の jefe をpadre 等の他語に置き換えることもできますね。

 よい年をお迎えください。