ある通訳ガイドのつぶやき-その2
慣れないバイトを始めたものですから、帰宅するなり横になる日々が続いています。これも修業と思って続けたいとは思っているものの、体が言うことを聞いてくれないという現実を受け入れざるを得ない年齢になったのかと、改めて思い知らされているところです。
さて、前回の続きではないのですが、関連記事として紹介させていただいた個別記事の中で触れた、2014年8月6日の面談時に「完成品しか使いません」と言われたAGT様からの唯一の業務依頼とその顛末についてです。
依頼元はテレビCMでもお馴染みの自動車メーカー様です。2016年に依頼元本社にて海外メディアのインタビューの通訳、歓迎式典での通訳、●●工場及び関連企業様(3社)における工場見学及び会議通訳を担当させていただきました。このときは別ルートからのご依頼だったものですから何ら問題もなく業務を終了することができたのですが、2018年のご依頼はB社が間に入ったためでしょうか、業務日時が迫っている(実際の事前業務は9月14日のメールで始まりました)にもかかわらず、最終的には安心してお引き受けすることができない(9月20日付けで辞退)と判断せざるを得なくなったのです。私の中では信頼関係が築けないAGT様ということでした。あまりに肥大化した組織の中ではあらゆることがたらい回しにされ、責任の所在もはっきりしない。それでいて、最終的には一番立場の弱い通訳(ガイド)にのみ責任が転嫁されるという構図です。
但し、同社の名誉のために付記すべき点は最後の窓口となってくださったO氏の存在です。このアサインの一年前の懇親会に参加させていただく機会がありました。参加者数を具体的に書いてしまうとAGT様の特定が容易になってしまうかもしれませんので曖昧にしておきたいと思いますが、参加ガイド全員の顔と名前を諳んじているようでした。アサイン皆無の私にまで受け付け直後に名指しでお声がけをしてくださった方です。随分若い時分に読んだビジネス書でそういう人がいるということは知っていたのですが、実際に遭遇したのは後にも先にもこのときだけです。
O氏とはこの懇親会でのご挨拶だけでゆっくりお話をさせていただく機会もなく過ごしておりましたが、2018年10月のアサイン辞退のときにお電話で言葉を交わす機会に恵まれました。
また、この辞退と同時にB社の登録抹消のお願いも併せてさせていただいたのですが、O氏より慰留されるような形になったまま宙に浮いた状態でもあります。
前回同様にすべての送受信録を転載するとかなりの長文になってしまうので、業務依頼・開始とその結末のやりとりのみ紹介させていただきます。
差出人: B社
送信日時: 2018年5月24日 15:40
宛先: tmashima@****
件名: XXX 2018 10/8-10/14
眞島友一様
お世話になっております。
●●●業務アサインをしておりますB社のTと申します。
今後ともよろしくお願いいたします。
早速ですが、新規お仕事のご依頼をさせて頂きたくメールさせていただきました。
ツアー名:●●●
ツアーNO:●●●
担当:●●●
期間:10月8日~10月14日
添付にて行程(予定)表をお送りさせていただきます。
昨年も真島様へお願いさせていただきましたツアーです。企業訪問、テクニカルビジットなど同じく含まれます。スケジュールご都合いかがでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします。
B社 T
2018年5月24日 15:58
B社 T様
お世話になります。
日程は大丈夫ですが、人違いではないでしょうか。
私が担当させていただいたのは一昨年ではなかったかと思います。いずれにしまして私でよろしければ、よろしくお願い致します。
眞島友一 拝
差出人: K (B社)
送信日時: 2018年9月14日 16:42
宛先: tmashima@****
CC: I(B社); S(B社)
件名: ●●● 10月8日~14日(13日は除く)
眞島様
平素より大変お世話になっております。
B社のKと申します。
この度は表記ツアーの業務をお引き受けくださり誠に有難うございます。ccにおります、Sと一緒にオペレーションを担当いたします、Kと申します。
営業担当は同じくccのIとなります。宜しくお願い致します。
以前弊社●●経由で業務をお願いしていたと聞いておりますが、今回お客様からのご指名で眞島様に依頼させていただきました。
現在、食事個所や観光箇所などお客様と詳細を詰めているところですが、現時点で添付の行程表となっております。
【ツアー概要】 略
【ご人数】 略
【眞島様への確認事項】
●●様より、眞島様へ、本社訪問、●●訪問時の通訳もお願いしたい、とのご依頼もいただいておりますが、可能でしょうか?
弊社からはガイドご手配では、「通訳業務」は業務外であるとご案内済みですが、●●様から眞島様には前回も担当いただいたようで、是非お願いしたいそうです。
難しいようでしたらその旨お客様にお伝えしますが、ご検討後お知らせいただけますでしょうか。
●●様に事前に資料などお願いする予定でございます。何卒宜しくお願い致します。
B社 K
差出人: B社
送信日時: 2018年10月4日 10:55
宛先: tmashima@****
件名: 先日のお電話の件につきまして
眞島様
いつも大変お世話になっております。
先日はお電話にてお時間をいただきありがとうございました。
今回は大変残念な結果となりましたが、眞島様のお考えや真意、思いなども伺わせていただき、ありがとうございました。
一点、お願いがございます。
今回の一連の件に関しまして、お客様には「一身上の都合」で眞島様がお受けすることができなくなり、代替提案をさせていただいているとお伝えしております。
何卒、ご理解、ご協力のほどよろしくお願い致します。
B社 O
差出人: T.MASHIMA
送信日時: 2018年10月4日 22:50
宛先: B社
件名: RE: 先日のお電話の件につきまして
O様
先日はお電話をいただきましてありがとうございました。
また、かなり時間をいただいてしまい恐縮しております。
貴社から正直なところお電話があるとは思ってもおりませんでしたし、貴社の中にはO様が私の面接者だったのでは、という誤解が生じているとしたら申し訳ないという気持ちもありましたので、最後に長々とご説明させていただいた次第です。
今回の件につきましては、O様のご判断でのことだと思いますので依頼元様にはそのようにお伝えしていただいている旨、承りました。
ただ、依頼元様の中には後日、別件ご依頼時に私の日程を事前に確認なさってくださる方もいらっしゃいました(私の方からご連絡することは決してございませんのでご安心ください)。このような形で依頼元様にご迷惑をおかけしたのは初めてです。今回の依頼元様からは今後二度と私の名前はあがらないでしょうが、念のためにお伝えさせていただきます。
それでは、O様(同姓または似たような音の姓名の方が複数いらっしゃる場合にはフルネーム表記がよろしい、かと、(笑))の益々のご活躍をお祈りいたします。
眞島友一 拝