吉川英治さんの誕生日に寄せて
これを読んでみろ、と幼馴染みに薦められて初めて読んだのが『宮本武蔵』です。私の読書の中心が吉川英治さんだった若い頃が、今ふり返ってみると一番幸せな日々だったのだろうと思います。
この作家についても、何度かブログで触れたことがあります。上京して子ども達を最初に連れて行ったのが吉川英治記念館。その後、記念館の存続が危ないというニュースを知ったのはいつのことだったでしょうか。そして昨年3月に閉館。報道では今年9月7日の「英治忌」に合わせて再館を目指していたはずですが、このコロナ騒ぎでどうなるのやら。
吉川英治さんは私の生まれる前に亡くなっているのですが、その旧居や資料が大切にできるような国であってほしいものです。
そういえば、北九州出身の松本清張が亡くなってしばらくすると、書店の棚を埋め尽くしていたコーナーが消えてしまったという記憶が鮮明に残っています。作家がなくなると、こんなものなのかという現実を突きつけられる思いをしたものです。それでも小倉には立派な松本清張記念館があるのが救いです。
ところで、吉川英治全集を読み終えて人生を締めくくりたいという思いはあるのですが、まだまだそれは許してもらえそうにありません。子ども達にも薦めたい作家の一人なのですが、こればかりは強制は無意味です。いつか、父親がどんな本を読んでいたのか思い出してくれる日が来るといいと思ってみても、その前に蔵書整理されてしまう公算が大きいです。
仕事のための資料と愉しみのための書籍の間に挟まれてしまってくつろぎの空間がなくなっていると言えなくもない我が家ですが、ゲームばかりに夢中で本を読まない子ども達をどうすれば少しでも本の世界へ導くことができるのだろうかと苦心しているところです。
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「声を出して文章を書く」